君の知らない空
◇ 頑張れ、私
事務所に入ってすぐに、いつもより人が少ないと感じた。
「おはようございます、遅れてすみません。電車が止まってて……」
「タクシーで来たの? 他の電車組もまだ来ないし、連絡がないから午前休なんだろうって思ってたよ」
課長に挨拶したら、半ば飽きれたように笑いながら返された。
「朝イチの月例会議に、間に合わなくて申し訳ありません」
少しムッとしたけど、平静を装う。
「ああ、会議か……大丈夫だよ、君が気にすることない」
課長の笑い方は好きじゃない。
まるで私が出なくても大した問題じゃない。と言ってるように聞こえる。
私はぺこりと一礼して、さっさと席に着いた。
内心はかなり苛立っていたけれど、表に出さないように心掛けながら。