君の知らない空
「橙子、おはよう」
席に着いて暫くして落ち着いた頃、優美がやって来た。私の座る椅子の横に屈み込んで、にこっと笑う。
「優美、おはよ、もう疲れたよ」
朝からいろいろあり過ぎて、仕事する気にもなれない。
「だろうね、朝から大変だったね」
「うん、もう丸一日働いたぐらい疲れたから今日は休業だよ、お茶しに行こ」
立ち上がったら、違和感を覚えた。
何列も並んだ机に座る人の姿はいつもより少ない。電車の遅延のせいなのか……