君の知らない空



「そんなに謝らないでください。私はもう、全然気にしてないんですから」

「でも……高山さんと小川さんが危うく誰かに殺されるところだったと聞かされて、本当に怖くて……何て事をしてしまったんだろうって……」


再び涙を浮かべてしゃくり始める沢村さんを、私は必死になって宥めた。


「ええ? 殺されるなんて言い過ぎですよ、そんなこと、誰が言ったんですか?」

「若い男の人です、ジムの前で待ち伏せしてて……カッコいい人だけど心当たりないなぁと思ってたら、急にすごく怖い目をして脅されて……」


やっぱり、脅されてたんだ。
だけど、カッコいい人が豹変した?
何となく引っ掛かる。


「もしかして、その人の口元にホクロがありませんでした?」

「あっ、ありました」


もしや……と思って尋ねたら、沢村さんは目を見開いて即答した。どうしてわかったのかと言いたげに。


間違いない。
沢村さんを脅したのは、周さんだ。



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