君の知らない空
「高山さん、新人の白木さんのことなんだけど……」
早速、山本さんが顔を寄せてきた。
いつもながら物凄い威圧感が、ずっしりと肩にのしかかってくる。
一見すると、話しかけやすそうなオバチャンなんだけどなぁ……
「私ね、あの子の指導員頼まれたんだけど忙しくて、それどころじゃないの」
「はい……」
嘘だ、忙しくなんかない。
さっきも野口さんと一緒にリフレッシュコーナーにお茶しに行ってたの、ちゃんと見てたんだから。
なんか、嫌な予感……
「あなた、しばらく指導してあげて。
チームは違うけど基本は同じだし、基本的なこと覚えてもらったら後は私が教えるから」
「えっ、え……私?
でも、チーム長が……」
思わす声をあげたら、皆の視線が突き刺さる。慌てて手で口を塞いだ。