君の知らない空


 やがて課長の挨拶で宴会はお開きになり、山本さんと野口さんは急ぎ足で帰っていく。おじさんたちはここでは終わらず、二次会の相談だ。


「古賀ちゃんと高山ちゃん、
どうや? ちょっとだけ行かんか?」


「すみません、また今度。
お疲れ様でーす」


 おじさんの誘いをにこやかに交わして、私たちは店を出た。


「あれ? 美香ちゃんは?
もしかして、あそこに捕まってる?」


店の入口前のおじさんの塊を振り返って
みたが、美香の姿はない。


「いや……いないみたいだよ、
もう帰ったんじゃない?」


「早いなぁ、
よっぽど嫌だったのかな」


ほっとして私たちは顔を見合わせた。
そして背後に迫るおじさんたちの気配から逃げるように駆け出した。
目指すは、駅前のファーストフード店。


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