君の知らない空


厳めしい男性らが見守る中、
美香と彼氏はロータリーに停めてあった車に乗り込み、低音を響かせて走り出した。セダンタイプの大きな白い車。


「ね、車見た? 
BMW、しかもM5だったよ!」


興奮して優美が指差すが、私は車に疎いから何のことか分からない。


きょとんとしている間に、美香の乗った車の後に2台の車が続いて出て行く。1台はセダンタイプ、もう1台はワンボックスタイプでどちらも真っ黒で大きい。


出て行く車を見送ってロータリーに視線を戻すと、さっきまで居た厳めしい彼らの姿はない。


「あれ? さっきの人たちは?
美香の車について行った?」

「そうみたい、何だったんだろ」


美香の意外な一面を見てしまった私たちは何も言えず、しばらく呆然と見つめ合っていた。



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