君の知らない空


美香を見送った後しばらく妙な余韻が残っていたが、私と優美は徐々に普段のペースを取り戻した。


コーヒーを飲みながら、さっきまでの宴会のことや職場のことを話しているうちにすっかり酔いも醒めていた。


「優美、準備は捗ってる?」

「なかなかね、
思うようには決まらないよ……」


私の問いに、
優美は照れ臭そうに笑う。
笑顔が眩しい。


結婚が決まってから、優美はどんどん綺麗になっている。


そりゃあ、羨ましいに決まってる。
女の子なら、誰もが結婚願望を持っているものだから。


稀に結婚願望なんか全然ないという人もいるけど、絶対に嘘だ。きっとそんなの強がりに決まっていると思う。



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