君の知らない空
ショッピングモールの長く続く通路沿いに、ゆったりしたベンチが点々と並んでいる。そのひとつに腰を降ろして、私はアイスクリームを食べていた。
目の前には天然石のアクセサリー店。
出入りする客や店内で品定めする客の様子を、ぼんやりと眺めながら。
人間観察とでもいうのだろうか。
あれこれと商品を手に取って、楽しそうに選んでいるカップルの姿と昔の自分が自然と重なる。
桂一と私も、
あんな風だったんだなぁ……
思い出す度に、休日にひとりでこんな所にいる自分が少し可哀想に思える。
はぁ……と溜め息を吐き、立ち上がろうとした私の視界に、店に入っていく一人の男性の姿が飛び込んだ。
胸がざわめき始める。