君の知らない空
私は狐につままれたような気分で、ショッピングモールの中をぐるぐると彷徨った。彼の姿を求めて。
しかし彼の姿を見つけることは出来ず、私はすっきりしない気持ちのままショッピングモールを出た。
外に出た途端に、むんとした熱気が全身に襲いかかってくる。見上げた空は青く高く、真っ直ぐに降り注ぐ日差しが痛い。
日傘を開いて歩き出そうとして、
私は何気に振り向いた。
ショッピングモールに隣接するスポーツジム。その駐輪場に停まった赤い自転車。
彼の自転車も赤い色だった……
それが彼の自転車かどうかは分からないが、彼はあのスポーツジムに入ったのかもしれない。
入って確かめたいが、スポーツジムなど行ったことないから勇気が出ない。
駐輪場の前で立ち尽くす私は、
誰が見ても不自然だろう。