君の知らない空


「そういえば、この前、朝から電車が遅れてたでしょう?仕事、大丈夫だった? 遅れなかった?」


「ああ、遅れて大変だったんですよ、
私ね、歩いて行こうとしたんです。そしたら1時間ほどで復旧したみたいで……バカでしょ」


言ってて、自分で笑い出していた。

思い出すだけで情けない。
よく歩こうなんて思ったものだ。


「ええ? 歩いたの?
どんだけ時間掛かったの?」


やっぱり、
知花さんにもビックリされた。


「ここの駅前のコンビニで休んでたら拾ってもらえて、職場前まで送ってもらえたから助かったんですよ」

「会社の人に? よかったよね……
そうじゃないと倒れるとこだよ」

「ほんとに、恩人ですよ」


知花さんと笑い合ってると落ち着く。
まるで学生の頃に戻ったような気分。


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