君の知らない空


「家出なわけないでしょ、
あのね……ジムに通うことにしたの」


「ええ? どうしたの、急に?」


高らかな優美の声に周りの席の人たちが、きっと振り向いた。
私が声を殺した意味がない。


「最近お腹周りがヤバいから」


さらりと答えたら、
優美はにやりと笑いながら顔を寄せる。


「嘘、何かあるんでしょ?」

「ううん、何にもないよ」

「嘘だ、顔に書いてあるよ。
白状しなさい」


顔に書いてある……か。
顔が熱いのは頬が赤くなってるからだろう。すぐ顔に出てしまうのを何とかしたい。


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