君の知らない空
その日の帰りに、沢村さんの案内でプールを見せてもらった。
プールはジムの一階にあった。
二階から入って受付を済ませた彼は、着替えて一階のプールへ向かうことも十分考えられるではないか。
まったくその通りだった。
ガラス越しにプールの様子を眺めると、黙々と泳ぐ人たちや端の方でひたすらに歩く人々の姿。
ガラスに張り付いて、目を凝らした。
曇って見えにくいのはガラスが分厚いからか。
「お昼間はお子さんが泳いでるのを、お母さん達がここから見てるんですよ、高山さんと同じように」
沢村さんがくすりと笑う。
恥ずかしいと思ったのは一瞬。すぐにまた、ガラスの向こう側のプールを探し始めた。
やがてプールから上がってきた人影が、目に留まる。
「あっ……」
思わず声が漏れた。
きょとんとして沢村さんが覗き込んでいるのも気にせず、私は彼を見つめていた。