お握りに愛を込めて
1日、4.5合?
「はい?」
何、それ?
「監督の教えなんだ。米を1日4.5合食べろって。
朝、昼、晩の三食で1合ずつ。更に、朝練後と放課後の練習前後に0.5合ずつ。
計、4.5合!』
「だから?」
ごめん、話が全く分からない。
「だ〜か〜ら!
マネージャーになって、俺達にお握りを握ってほしい。頼むっ」
そう、頭を下げて頼まれても……
「すみません、私では役不足なので、出来そうにないです」
ここは丁重にお断りを。
「いやいや、菜子ちゃんしかいないんだって」
いつのまにか、菜子ちゃん呼ばわり?
「他の子だって、お握りくらい作れるでしょ?」
「駄目!」
なんだ?わけ分かんないところ強情。
「ただ握っただけじゃ駄目なんだよ。食べて、こう、よしっ!頑張るぞ。目指せ、甲子園っ!って思えるようなお握りじゃないと」
「それは、愛情がこもっていれば、誰のでもそうだと思うんですが」
「ち〜が〜う!」
うっ……
この人、結構しぶといよ。