お握りに愛を込めて
翌朝、いつもより早く学校へ行き、お握りを作る。
昨日、美味しそうに食べてくれた彼らの笑顔を思い出しながら。
愁先輩、私がマネージャーするって言ったら、どんな顔するんだろう。
喜んでくれるかな。
また、笑顔見せてくれるかな。
“菜子ちゃ〜ん”って潤んだ瞳見せてくれるかな?
午前8時15分
7時半から始まっていた朝練が終わる頃、昨日と同じようにお握りを持っていく。
朝、白ご飯1合食べてきているというのに、お握りは、あっという間になくなった。
すごい食欲。
男子高校生って、半端ないね……
愁先輩の姿を探す。
先ほどまで美味しそうにお握りを食べていた彼の姿はいつの間にかグラウンドにはなかった。
伝えることがあったのに。
別に今言わなくても、昼休みでも放課後でも、いつでもよかったんだけど、早く自分の気持ちを伝えたかった。
彼の反応が見たかった。