お握りに愛を込めて
「あの、愁先輩は?」


お握りを食べていた近くの部員に聞いてみると、


「ん?愁なら、多分、部室じゃねぇかな」


と返事が返ってきて、聞くが早いか、私は部室へ駆け出していた。



部室の前

洗濯機の隣の洗濯物干場に彼の姿はあった。


一人黙々と、洗いたてのユニフォームを干している彼の姿が。



“マネージャーがいないとキャプテンが、その分頑張らなきゃね”


昨日の彼の言葉を思い出した。


こうやって、本来ならマネージャーがするべきことをこの人はしている。

練習して疲れているはずなのに。


誰かに手伝ってほしいって言うこともなく、黙々と。
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