お握りに愛を込めて

「手伝います」


気付いたら、体が勝手に動いていた。

愁先輩の隣で、一緒にユニフォームを干していた。



「なっ、菜子ちゃん!?」


びっくりしたというような声を出した彼。


「なんで、先輩一人でやってるんですか?他の人に頼めばいいじゃ……」 

「みんな、疲れてるだろ?」


それは、愁先輩だって同じじゃない。


「だから」

「答えになってないです」

「ごめん……」


何、謝ってんのよ


「今日から私がしますからっ」

「菜子ちゃん?」


きょとんとした顔をこちらに向けた。


「私、今日からマネージャーしますっ。ううん……やらせてください!」



無理矢理じゃない。

頼まれたから仕方なく、とかじゃない。



ただ、やりたいの。


野球部のマネージャーとして、少しでも力になりたい。

そう思うから。
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