お握りに愛を込めて
「強引に誘って、なんか勢いでお握りまで作らせて。菜子ちゃんの都合なんて考えてなかったって、反省してる。だから、ごめんっ。菜子ちゃんには、菜子ちゃんのやりたいことがあるのに。俺、これからなんとかするから、だから、菜子ちゃんはマネージャーのこと気にしなくていいから。だからさ……」

「違うんですっ!私がやりたいんです。
そりゃ、昨日の愁先輩には正直、びっくりしました。だけど、今は違うんです。誘われたからとか、仕方なしにとかじゃなくて、私がやりたいんです。
野球部のお世話がしたいんですっ。よろしくお願いしますっ」



ペコリと頭を下げたとほぼ同時に、ぎゅっと温もりに包まれた。


「えっ……」


驚いた声と共に、パッと体が離れた。


「あっ、ごめん。つい嬉しくて」


ポリポリと頭を掻く愁先輩が可笑しくて、からかいたくなる。


「菜子ちゃん」

「はい」

「こちらこそ、よろしく」

「はいっ」


こうして、私は、野球部マネージャーになった。

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