お握りに愛を込めて
確かに、愁先輩を好きになったからといって、マネージャー業が疎かになったかと言えば、そんなことはない。
みんなに頑張ってもらいたくて、気持ちを込めてお握りを握るし。
少しでもみんなの役に立ちたいって思う気持ちは、マネージャーを始めてから日に日に強くなる一方だし。
「あ〜、辞めたくないなぁ」
「だから、辞める必要なんてないって。それに、今、菜子が辞めたら困るのは、誰?
野球部みんなでしょ?」
「そうなんだけど」
だけど、なんか、少し悪いことをしている気分なんだ。
悪戯をして、親にバレないかドキドキしている子供の気分なんだ。