お握りに愛を込めて
私をおぶって部室に戻ってきた先輩は、椅子に私を座らせると、手際よく、棚に置いてある冷却スプレーを、ふくらはぎにかけてくれた。
じんじんと熱かった部分も少し落ち着き、
「ありがとうございます」
そうお礼を言っていると、愁先輩は、冷湿布を引き出しから取り出し、くっきりとボールの跡が付いている右ふくらはぎにぴたっと付けてくれた。
ほんと、手際いいね。看護師さんみたい。
「大丈夫?」
心配そうに私の顔を見る愁先輩は、先ほどの私を背負う前の迫力はなく、今は、いつもの優しい顔の愁先輩に戻っていた。