お握りに愛を込めて

「私、マネージャー失格なんです。だから、辞めます」

「え?」

そう、もう辞めなきゃ。今辞めなくても、時期に監督から辞めさせられるから。
それならば、自分から辞めよう。


「あっ、でもいきなりマネージャーいなくなったら大変だと思うから、ちゃんと後任の子を探してきてから辞めるので、安心してくださいっ」

「なんで?」


突然のことに、ぽかんと口を開けてきょとんとしている愁先輩。


なんでって言われて、答える勇気はない。

だって、愁先輩。
あなたを好きになってしまったから。

でも、理由を言ったら、告白になるから。

告白する勇気は、私にはない。


「もしかして……タイムバーゲン?」

「はぁ?」

なんでタイムバーゲン?


「タイムバーゲンとか、関係ないですからっ。そんなことじゃなくてっ、

愁先輩のこと好きになっただけなのっ」

「え?」

「え?……あっ……!」


今、私……勢い任せで、言ったよね?

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