お握りに愛を込めて
「私……、愁先輩のこと、好きになったんです。だから、マネージャー辞めなきゃ」
「なんで?」
「だって、特別な感情もっていたら、駄目でしょ?」
そう言ったと同時、筋肉質の愁先輩の腕にぎゅっと抱きしめられ、先輩の温もりに包まれた。
「ありがと」
頭の上から聞こえてくる声に、顔を上げようとしたらまた強く抱きしめられ、上を向くことができない。
「ちょっ……と」
その“ありがと”って、どういった意味のありがとうなの?
表情を見たいのに、なんで見せてくれないのよ。
「今、ヤバいから見んな」
そう言った愁先輩の声に、何故か、私の方が顔が赤くなる。
それって……
先輩も……ってこと?
今、ゆでダコ菜子みたいに先輩もゆでダコ愁先輩なの?