初恋は不思議な国で



「お前、さぁ…」

俊也は口を開いた。




「はい?」


笑顔で答えるセリア。




「出てけ。

この、山から!」

俊也はちょっと目に闇をゆらめかせて、そう言った。



セリアは、また泣き出してしまった。


「私だけなの…

私はお父様と一緒にアメリカへ向かっていたわ。


…でも

わからないの。

お父様が…どこにいるかすらッ」


そこでセリアはこらえきれず、大声で泣いた。



俊也はただただこの少女に困り果てていた。


(何言ってんだ…?

アメリカ?わからない?)


セリアは少し涙をふいてから答えた。


「私の乗っていた…

この国で言う飛行機は、

日本によって墜落させられたの

絶対…許したくない…」

そう言ってセリアはまた泣き出した。



普通ならそんなセリアには優しい言葉をかけてやるだろう。


しかし、

俊也は
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