初恋は不思議な国で
「はいっ」
マリーは返事をして声のするキッチンに向かった。
「なんですか?俊也」
マリーがきょとんとしてそう聞くと、俊也はため息をついた。
「お前なぁ・・・、
いい加減その敬語やめてくれねぇ?
なんかよそよそしいんだが」
するとマリーは顔を少し赤らめて笑う。
「だ、だって・・・
私がクッキーで無理やり覚えた日本語がこう、でして・・・」
俊也は笑う。
「・・・ま、しゃーねーな。
市場行くぞー」
もうカバンを抱えている俊也。
「あぁっ、待ってください!」
綺麗な長い髪をひとつに縛るマリー。
______あれから、俊也の人間不信は徐々に回復していて。
まだ誰とでも目を合わせられるわけじゃないけれど、
日常生活に支障をもたらさない程度まで回復したのです。
だから俊也も最近、何気に買い物を楽しみにしています。
セリアはもとから、ものすごく楽しみにしていますが。