初恋は不思議な国で
「しゅ、俊也?
お母さんよ?あなたの母と父よ?」
中年の女性が困った様子で言う。
「ハッ」
俊也は笑った。
それは、マリーの好きなあの笑顔じゃない。
まるであざ笑うかのような、悲しい顔で
「俺には親なんかいないけど?」
冷たく、はっきりとそう言い放った。
ざぁぁぁぁぁぁぁ・・・
そんな俊也の心に呼応するように、
雨が、
降り始めた。
いつも優しい俊也が、雨で黒く塗りつぶされるような気がして
怖い・・・。
マリーは俊也の腕をぎゅっと握り続けた。