初恋は不思議な国で
「あの時はすまなかった・・・
だから、やり直さないか?」
中年の男性が俊也の頭をぽんとたたいた。
その瞬間。
「触んなよっ!!!!!!!!!
俺には親なんかいねぇんだよ!」
俊也はその手を振り払い、マリーの手をとって走りだした。
「俊也!?」
そう呼ぶマリーの声すら無視して。
俺は、走った。
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後ろであの人たちの声が聞こえた。
そんなの雑音にしか聞こえない。
小雨から嵐のように変わってくる雨の中、俺は走った。
マリーが小さな声で言った。
「しゅ、んや・・・
あの、人達・・・は・・・」
「うるさい!!」
気が付いたら、俺はマリーにそう叫んでた。
マリーが涙と雨の混ざった表情で、言った。
声にもならない、声で。
「ごめ・・・なさ・・・」
その声を聞いて、俺は我に返った。
俺・・・
なんで八つ当たりしてんだよ!!
自分で自分に腹が立つ。