初恋はレンタル彼氏
玲がジャージを貸してくれて、私は濡れた制服からジャージに着替えた。

そのあと玲に自転車に乗せられて、玲の家に向かっている。


玲との間に、必要最低限の会話しかない。

私が愛梨にあんなことをされたからということもあるが、これから玲の口から聞くことになる『秘密』。


その緊張感が、今の私たちを無言にさせている。


その距離が…不安で、こわい・・










カチャ


「飲みもの取ってくるから、待ってて」

「…うん」


玲の家に着き、部屋に通された私。

部屋に入った途端、玲は飲み物を取りに部屋を出ていった。



私はぶかぶかのジャージの袖を捲り、ベットの上に座る。

腫れたまぶたをさわりながら、愛梨のことを考えていた…




“裏切り者”


最後に愛梨に言われた言葉。



生まれてはじめて、あんなこと言われた。

あんな言葉…ドラマとか漫画の中だけの言葉だと思ってた。


リアリティーが無さすぎて、余計に胸に突き刺さった。



「・・・っ」


また泣きそうになる。

こんな自分を目の当たりにすると、自分は強くないということを実感させられる。
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