初恋はレンタル彼氏
コト




すると玲が部屋に戻ってきて、テーブルにマグカップを置いた。

マグカップからは湯気がたっている。


この香りは、この前飲んだあの紅茶の匂い…




「ありがとう…」


マグカップを持ち上げ、紅茶を一口飲む。

温かい紅茶は、私の心も体もぽっと暖めてくれた。







「・・・・」

「・・・・」


お互い口を開かない。

どちらかが、きっかけを待っている。



でもこんなことをしていても、前に進まない…

私はほんの少しの勇気をふりしぼった。





「玲…私大丈夫だから…」

「・・・」


その勇気が、また私の涙腺を緩ませる。

無理して他のコトを考えようとする頭…



「話して…」


涙をこらえて出た声は、弱々しいものだった。

玲はそんな私の頭をぽんと撫で、ふう…とため息をついたあと、ゆっくりと話始めた。

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