千の夜をあなたと【完】
そしてこの一年の間で、レティに対するイーヴの気持ちは揺るぎないものになっていた。
レティと同じ屋根の下で住むようになってから、イーヴは日を追うごとにレティに惹かれていった。
レティは他の令嬢とは全く違う。
言いたい時に言いたいことを言うし、興味があるものに対しては貪欲にそれを知ろうとする。
けれど雷を怖がるなど、少女らしい可愛いところもある。
レティの笑顔、笑い声、そして泣き顔……。
レティの全てがイーヴの心を鷲掴みにし、離さない。
けれど。
「……」
レティは自分のことをどう思っているのか。
酷く嫌われているわけでもないが、好かれてもいない気がする。
……というか確実に好かれてはいないだろう。
イーヴとしてはもっとアプローチしたいのだが、ティンバートの屋敷にいる以上、あまり大っぴらにもできない。
多分結婚するまでこのままの関係が続くのだろう。
けれど結婚すれば……夫婦になれば、時間はいくらでもある。
時間をかけて、レティに自分のことを知ってもらいたい。
そしていつか、レティの心を手に入れたい。
レティと二人で、同じ未来を歩いていきたい。
イーヴは熱を帯びた瞳でペンダントをじっと見つめ、唇を寄せてそっと口づけた……。
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