千の夜をあなたと【完】
レティはびくっと背筋を強張らせた。
まさか雷が鳴り出すなんて……。
レティは窓から離れ、逃げるように部屋の奥へと向かった。
部屋の奥にはいつも寝ている寝台が置いてあり、その脇には燭台が置いてある。
蝋燭の灯りを見ると、どことなくほっとする。
しかし……この間外で雷に遭ったせいか、なんとなく恐い。
肩を震わせるレティに、イーヴが後ろから声をかける。
「俺、そろそろ部屋に戻るけど」
「……」
イーヴは怖いが、雷も怖い。
……どうしよう。
レティはぐっと唇を噛みしめ、イーヴをじっと見つめた。
イーヴはしばし不思議そうにレティを見つめていたが、やがて唇の端で少し笑った。
「……今夜は雷が激しいらしいよ?」
「……っ!」
「ちゃんと窓を閉めて寝なよ。じゃあ、おやすみ」