千の夜をあなたと【完】




「お願い。……少しでいいから、雷がやむまで、ここにいて」


――――と、レティが言った瞬間。

イーヴの手がレティの腕を掴み、そっと引き寄せた。


「……最初から素直にそう言いなよ」


言葉とともにイーヴの手がレティの髪に触れる。

……あの時と同じ、優しい手。

イーヴの体から漂う、薬草とハーブの香り。

イーヴの手がレティの背を抱き寄せ、頭を優しく撫でる。

レティはイーヴの肩に額を押し付け、ほっとしたように大きく息をついた。



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