千の夜をあなたと【完】
――――あれから、どれくらい時間が経っただろうか。
雷はまだ鳴っている。
レティは寝台に腰かけ、窓の外をじっと見つめていた。
イーヴもその横に座り、窓の方を見つめている。
「この時期にこんなに雷が鳴るなんて、珍しいな」
「そうだね……っ、キャ──ッ!」
窓の外で青い稲妻がピカッと光る。
レティは両耳を抑え、反射的に目を瞑った。
そんなレティの肩をイーヴが横から抱き寄せる。
……優しいぬくもり。
その温かさに、レティの胸がドクンと高鳴る。
「……怖がりすぎだよ、お前」
「……で、でも……だって……っ」
目尻に涙を滲ませるレティを、イーヴはさらに強く抱き寄せる。
……いつになく力強い、その腕。
レティはイーヴの腕に縋るように身を寄せた。
そんなレティの耳元に、イーヴが低いアルトの声で囁く。