千の夜をあなたと【完】
「……雷が恐くなくなるようにしてやろうか?」
甘い熱を帯びた声。
いつものイーヴの声とは少し違う、その声……。
レティは戸惑いながら顔を上げた。
「怖くなくなるって……どうやって?」
と戸惑いながら言ったレティに。
イーヴはそっと指を伸ばし、レティの顎を掴んだ。
くいと自分の方にレティの顔を向け、じっと見つめる。
切なげな熱を帯びた青灰の瞳に、レティは思わず息を飲んだ。
イーヴのこんな瞳を見るのは初めてだ。
なぜか胸がドキドキする。
何も言えないレティに、イーヴは少し目を細めて形の良い唇を開く。
「……灯りを消せば、怖くなくなる」
「え、どういうこと?」
レティは首を傾げた。
……よくわからない。
イーヴはそんなレティにくすりと笑い、さらに顔を近づけた。
レティの全てを絡め取ろうとするような視線に鼓動が高鳴る。