千の夜をあなたと【完】
至近距離で見ると、イーヴの面差しは息を飲むほどに美しい。
その目から、その表情から……目を離すことができない。
「灯りを消したら、雷なんか全く気にならなくなる」
「……え?」
「雷なんか気にならなくなるような状況になるってことだよ。……お前も、俺も」
「……は?」
全く意味がわからない。
ぽかんとするレティを、イーヴはしばしじっと見つめた後、はーっと盛大なため息をついた。
「……やはり子供だな、お前は」
「え、ええっ?」
「まあ、いいさ。グロスターに来たらみっちり教えてやるよ。覚悟してなよ、お前?」
イーヴは楽しげに笑い、レティの髪をくしゃっと撫でた。
その目には先ほどの切ない影や熱っぽさはない。
レティはイーヴの顔をぽかんとした顔で見つめていた……。