千の夜をあなたと【完】
イーヴは冷静な声で言う。
その表情にも声にもどことなく威厳を感じる。
――――ブラックストンの後継。
その名に恥じない16歳とは思えない雰囲気に、リカードは少し気圧されながら口を開いた。
「……と、なると?」
リカードの言葉に、イーヴはうっすらと目を細めて口を開いた。
「殺るしかないってことだよ。この『氷眼の狂剣士』とやらをね」
「しかし、奴は手練れという噂です。一体どうやって……」
「例えば偽の情報を掴ませて誘き出して殺すとか。いろいろあるだろ? ……ま、それはエインズワースの方が詳しいだろうけどな?」
イーヴの言葉に、エスターは目を細めて少し笑った。
『心外な』とでも言いたげなそのアンバーの瞳。
けれどリカードも、この長い黒髪の青年が見た目以上に切れ者だということはなんとなくわかっている。
ふむと頷いたリカードに、イーヴは向き直った。