千の夜をあなたと【完】




「しかしこうなった以上、俺としては来週にでもレティをグロスターに連れて行きたい」

「イーヴ様……」

「多分、それが一番安全だ。ブラックストンの騎馬兵なら、3日もあればティンズベリーに着く」


ブラックストンの騎馬兵は優秀な戦士としても有名だ。

いかに『氷眼の狂剣士』と言えど、一流の戦士の軍団を前に孤軍奮闘では勝ち目はないだろう。

リカードは頷き、イーヴに言った。


「では恐縮ですが、レティはイーヴ様にお願いしたい。ついでにセレナも連れて行って貰えないでしょうか?」

「了解した。ほとぼりが冷めたらティンズベリーに責任を持って送り返そう。リカード卿とリュシアンは?」

「リュシアンは私の妹の嫁ぎ先であるウェルシュ伯のところに向かわせる。私も全ての準備が済んだら、一旦ティンズベリーを離れよう」


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