千の夜をあなたと【完】



「……っ」


レティは青ざめた。

―――― 一体この男は、自分に何をするつもりなのか。


屋敷のメイド達から噂話でいろいろと聞いたことがある。

盗賊に拐かされて売春宿に売られた高貴な姫君の話や、街でならず者たちに囲まれ、弄ばれたあげく殺され、川に捨てられた侯爵の娘の話など……

それらは全て『こういうこともありますからあまりお転婆なことはしないように』と説教じみた講釈がついていたが、まさか自分がその当事者になってしまうとは夢にも思っていなかった。


レティは背筋を強張らせた。

そんな目に遭うくらいなら、自殺した方がよほどいい。

とレティが思った、その時。


男が手を伸ばし、レティが着ていた夜着の襟元に手を伸ばした。

目を見開くレティの夜着に両手をかけ、ビリと服を破く。


「……っ!!?」


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