千の夜をあなたと【完】
レティは頭が真っ白になるのを感じた。
無意識のうちに、心の中で叫ぶ。
……助けて……
――――助けて、イーヴ!
レティは心の中で必死に叫んだ。
これは、悪夢だ。
イーヴの手がどれだけ優しかったのか、あの眼差しがどれだけ安心感を与えてくれたのか……。
今になって、わかる。
けれど今、イーヴはここにはいない。
もう、助けてくれる人はいない……。
レティは絶望のあまり舌を噛もうとした。
その瞬間。
「……ふぐっ!?」
男がレティの口の中に素早く指を突っ込んだ。
予想だにしないその行為に、レティは目を見開いた。