千の夜をあなたと【完】



男の言葉にレティは首を傾げた。

見ると。

籠の中には果物やら野菜やら、そして肉やら魚やらが山のように入っている。


「さあ、好きなものを食べろ」

「……」


と言われても……。

レティは唖然と籠の中を見つめていた。

驚きのあまり何も言えない。

この男の思考回路が全くわからない。

男はじっとレティを見つめていたが、やがてため息交じりに口を開いた。


「……お前が食べないなら、一つずつ試すまでだ」


言いながら、籠に入っていた大きな茹でイモを手でつかむ。

……というかなぜわざわざ、一口で食べれないものを選ぶのか。

こんなものを口に突っ込まれたら、また窒息してしまう。

レティは慌てて叫んだ。



< 152 / 514 >

この作品をシェア

pagetop