千の夜をあなたと【完】
男の言葉にレティは首を傾げた。
見ると。
籠の中には果物やら野菜やら、そして肉やら魚やらが山のように入っている。
「さあ、好きなものを食べろ」
「……」
と言われても……。
レティは唖然と籠の中を見つめていた。
驚きのあまり何も言えない。
この男の思考回路が全くわからない。
男はじっとレティを見つめていたが、やがてため息交じりに口を開いた。
「……お前が食べないなら、一つずつ試すまでだ」
言いながら、籠に入っていた大きな茹でイモを手でつかむ。
……というかなぜわざわざ、一口で食べれないものを選ぶのか。
こんなものを口に突っ込まれたら、また窒息してしまう。
レティは慌てて叫んだ。