千の夜をあなたと【完】



今となっては、全てが遅い……。

そう、わかってはいる。

けれどあの男を討つまでは、安息の時はない。

いずれきっと、自分はあの男と対峙するだろう。

その時に必要になるのは、あの夜と同じ『力』だ。

その時に向け、『力』を身に付けねばならない。


イーヴはディーンの森に住むという『緋の魔剣士』の噂を思い出した。

眉唾だろうが何だろうが調べてみる価値はあるかもしれない。

イーヴは長衣の裾を払い、自室の方へと歩き出した。



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