千の夜をあなたと【完】
ライナスはレティに紳士的に接してくれている。
きっと、根は悪い人ではないのだろう。
幾多の過ちが積み重なって、こんなことになってしまった……。
自分はどうすればいいのだろう。
わからない……。
レティの目に涙が滲む。
レティはぐいと腕で涙を拭き、ベッドへと戻った。
シーツに顔を突っ込み、嗚咽する。
「……イーヴ……、セレナ、お父様……っ……」
――――その泣き声を。
ライナスが背中越しに聴いていたことに、レティは気付いていなかった。