千の夜をあなたと【完】
――――それから。
レティがベッドで泣いた日の翌朝、ライナスは必ず姿を消すようになった。
そして昼過ぎに突然戻ってきて、レティの手に籠やら袋やらを押し付ける。
それは花だったり、楽器だったり、服だったり……
レティはそれらを受け取る度に、首を傾げた。
「……?」
別に日中、そんなに暇しているわけでもない。
家事を一通りこなせば、昼間の時間は8割方つぶすことができる。
しかしわざわざライナスが仕事中に持ってきてくれるものを受け取らないわけにもいかない。
ここに来たときは身一つだったのだが、夏が終わる頃にはレティのベッドの周りにはいろいろな物で溢れていた。
物の多さで言えば、ティンバートにいた頃より多いくらいだ。
しかし、どうして……。
レティは首を傾げながら、部屋の片づけを始めた。