千の夜をあなたと【完】
レティを見つめながら、ライナスは少し掠れた声で告げた。
「ティンバートへの復讐は、もう終わりにする。お前の涙に免じて」
「……ライナス……」
「だから、もう一人で泣くな。泣きたいときにはおれを起こせ」
言い、ライナスはそっとレティを抱き寄せた。
……温かく優しいぬくもり。
どこか懐かしい、潮風と太陽の香り。
レティの目尻からとめどなく涙が零れ落ちる。
レティはライナスの腕の中で、呆然と涙を流していた……。