千の夜をあなたと【完】
「あれ、あまり甘くない……」
「そっかー。でもせっかくソフィアが採ってくれたものだし……」
と言いかけたレティだったが。
掌の上の青紫色の実を見、首を傾げた。
……今は3月だ。
この時期にブルーベリーの実が生るだろうか?
と思った、その時。
ソフィアーが喉を抑え、苦しそうに蹲った。
ぎゅっと胸元を握りしめ、嘔吐する。
「ソ、ソフィア!?」
「……レ、レティ……さま……」
ソフィアは苦しげに胸を抑えながらレティを見上げる。
その顔は青ざめ、とても苦しそうだ。
まさか、この実が……?
レティはとっさにソフィアを抱き上げ、腕に抱え込むようにして教会の方へと走り出した。
薬草園の小道を駆け抜け、教会のドアをバンと足で蹴り開ける。
レディらしからぬ所作だが、この際構ってはいられない。