千の夜をあなたと【完】
――――それから。
ライナスはレティへの気持ちを言葉や態度で表すようになった。
レティは戸惑いつつも、ライナスが向けてくれる気持ちを次第に嬉しいと感じるようになっていた。
心の奥には、イーヴがいる。けれど……
もう、二人の道は分かれてしまった。
ならば自分も、自分の道を探していかなければならない。
その思いもあってか、レティはライナスの気持ちに応えたいと思うようになっていた。
……けれど、自分は伯爵家の娘だ。
ティンバートが今、どうなっているのかを確かめなければならない。
もしリュシアンが父の後を継いでいるのなら特に問題はないのだが……。
レティは一月ほど考えた後、ある決心を固めた。