千の夜をあなたと【完】
7.ひとつの決意
――――そして年が明けて、一月。
雪が降る、寒い日の午後。
レティはライナスに、その決心を伝えた。
「……あのね、ライナス。ひとつ、頼みがあるの」
「何だ?」
畏まった様子のレティに、ライナスは不思議そうに眉を上げた。
レティはひとつ息をつき、口を開いた。
「あたし一度、ウェールズに戻りたい。戻って、兄のリュシアンを探したいの」
「……っ!?」
ライナスの顔が一瞬で強張る。
レティは顔を上げ、続けて言った。
「聞いて、ライナス。……リュシアンが伯爵位を継いでいたら、あたしがティンバートを離れても特に問題ないから……」
「……」
「リュシアンが伯爵位を継いだら、……あたし、ずっとライナスの傍にいるから」