千の夜をあなたと【完】
レティの言葉にライナスは目を見開いた。
……そして、しばしの沈黙の後。
ライナスはレティの両脇の下に手を入れ、抱き上げた。
「……わっ、わわっ……」
レティは驚き、ライナスを見た。
ライナスはこれまでにない嬉しそうな笑顔でレティを見つめている。
……雪が溶けるような、純粋な喜びに満ちた美しい笑顔。
ライナスはくるくるとレティを回した後、ぎゅっと胸に抱きしめた。
「嬉しい。……ありがとう、レティ」
「……ライナス……」
「こんなに嬉しいのは生まれて初めてだ。……お前を手に入れられるなら、いくらでも探してやる。一人と言わず、二人でも三人でも」
ライナスはレティの髪に頬を埋め、抱きしめながら言う。
……その温かさ、優しさ……。
きっとライナスといれば自分は幸せになるだろう。
自分はこれから、ライナスと一緒に人生を歩んでいく。
レティは脳裏に浮かんだ青い瞳から目をそらすように、ライナスの胸に顔を埋めた。