千の夜をあなたと【完】
「ソルベリーの葉と、トラムの精油と、お湯を持ってきて。あと毛布と水!」
「わかりました!」
シスターたちはイーヴの指示に従い機敏に動き出す。
レティはその様子をなすすべもなく見つめていた。
……何もできない……。
褐色の瞳を陰らせ立ち尽くすレティに、イーヴが鋭い視線を投げる。
「お前、そこにいたら邪魔。脇にどいてて」
「う、うん……」
レティは慌てて部屋の隅に寄った。
レティのすぐ傍で、ソフィアは苦しげに胸を上下させている。
自分がもっと気を付けていたらこんなことにはならなかったのに……。
レティはぐっと唇を噛みしめ、苦しむソフィアをじっと見つめていた。