千の夜をあなたと【完】
<side.リアン>
ある雨の夜。
リアンは今日の仕事を一通り済ませた後、屋根裏のベッドで体を休めていた。
……季節のせいだろうか。
この頃、あまり良くない夢を見ることが多い。
……その夢は……
決まって、夜だ。
広い部屋の中で、誰かが血まみれになって倒れている。
そしてその前で刃をかざしている、蒼い目の男……。
「……」
頭に巻かれた黒い布の間から、亜麻色の髪が見える。
……なぜその色が夢の中でこんなにも鮮やかなのか……。
しかし夢はそこで途切れてしまう。
そして起きると、ひどい頭痛がリアンを襲う。
もしかしたら……
記憶、なのだろうか。
それとも……ただの夢なのか……。
わからない。
リアンは布団を引き寄せ、ばさっと頭から被った。
<***>