千の夜をあなたと【完】
20分後。
レティはソフィアが横たわっている長椅子の近くに椅子を置き、腰かけていた。
その横でイーヴが薬草から煎じ薬を作っている。
……部屋に漂う薬草の香り。
それはいつもイーヴの体からほのかに漂う香りと同じものだ。
息をつめて見つめるレティの前で、イーヴはソフィアの背に腕を回して上半身を起こさせた。
煎じ薬の入った椀を取り上げ、ソフィアの口元に近づける。
「全部飲むんだ」
「うぅ……っ……」
「飲んだら蜂蜜飴をやるから。一気に飲め」
イーヴは煎じ薬の入った椀をソフィアの口元に押し当てる。
ソフィアは眉をしかめ、苦しそうにしながらも煎じ薬を飲み干した。
全て飲み終わったのを確かめた後、イーヴは薬草の入ったトレーから小さな木の箱を取り出して、中に入っていた蜂蜜飴をソフィアの口に押し込んだ。
いつも教会では、栄養ということもあって蜂蜜飴を子供たちに配っている。
ソフィアは蜂蜜飴が口に入ると、その優しい甘みにふっと頬を緩ませた。
その表情にほっとしつつ、レティは唇を噛んだ。