千の夜をあなたと【完】
「……だいぶ色気が出てきましたね、セレナ」
「……エスター、さま……」
茫洋とした表情で、セレナは呟くように言う。
エスターはもう一度軽く口づけた後、くすりと笑った。
「あなたが望むのであれば、またお教えしますよ。……おやすみなさい、セレナ」
言い、セレナの頭をさらっと撫で、椅子から立ち上がる。
その長い黒髪を揺らしながら、エスターはドアの方へと歩いていく。
その後ろ姿をセレナは茫洋とした表情で見つめていた……。
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